文化

漢民族? 汎民族?

殆どの中国人に「貴方は何民族ですか?」と聞くと「漢民族」と答える。
公式数字で12億中国人の内、実に95%、11億人以上が漢民族であり、単独では世界最大の民族である。

次に、漢民族ってなあに?と突っ込んで質問して行くと段々答えがあいまいになってくる。
見かけだけで言っても、北の漢民族と、上海の漢民族、南の漢民族は、身長、体型、顔つきなどかなり違っている。上海の漢民族などむしろ日本人のほうが近い気すらする。又、南の広東人は、ベトナム、ラオス当たりとホントに似てくる。

歴史的に漢民族とは黄河中流を中心としたごく狭い範囲の民族でしかなかったが、彼らの文明の高度な発展の過程で次第に周辺民族を併呑し、混血していったことは明らかである。
古い中国の書籍に出てくる中国周辺の異民族を表す言葉、「東夷」、「北狄」、「西戎」、「南蛮」等は、後代になってからは日本、蒙古、チベット、東南アジアを指す言葉となったが、元来はもっと中原近く、すぐ周辺にいた異民族を表す言葉であった。特に南方は、揚子江を越したら「越」。今でも言葉が全く違う様に、原漢民族から見れば異民族の世界、即ち「南蛮」であったに違いない。秦帝国発祥の地は今の四川省といわれるが、当時は西戎(チベット族)の地帯であり、今でも多くのチベット族が住んでいる。
つまり漢民族とは、出自は黄河、中原であろうが、その後多くの周辺民族と融合して出来上がった、元多民族融合民族、汎民族であると言える。

因みに漢民族と、少数民族が結婚して出来た子供は何民族かと聞けば、親がどちらかに決めるそうな。
これまでは優勢な漢民族を選ぶのが当然であったが、最近は少数民族のほうを選ぶ場合も多いと聞く。
その心は? 少数民族は一人っ子政策の枠外で子供を2人持てるからだとか。